テニスのチャレンジの回数何回まで?ルールやホークアイの正確性は
テニスにはチャレンジがある。選手は、審判のライン判定に不服があった場合、ホークアイというシステムによるデジタル画像の判定を要求できるというルールである。現在すべてのテニス大会で採用されているわけではないが、グランドスラムをはじめとした100以上の大会で採用されている
テニスのチャレンジは、選手に何回まで許されているのだろうか。機械でいつもラインを見張っているのなら、チャレンジしなくてもいつもそれを見て判断すればいいのではないだろうかとも思うが、ホークアイ判定の正確性はどのくらいなのか、など調べてみた。
hawkeyeinnovations.com
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テニスのチャレンジは何回まで?
テニスのチャレンジは、
- 各セット3回まで
- タイブレークに入ったら1回増える
ただし、主張通りなら回数は減らない。いわば何回でもできる。
もし主張がはずれたら、1回減る。ので、テニスのルールには、
”各プレーヤー(チーム)は、セットごとに3回の不成功のチャレンジができる、タイブレークに入ったらプラス1回"
Each player (team) is allowed three (3) unsuccessful appeals per set, plus one (1)
additional appeal in the tie-breakITF Rules of Tennisより
とある。
また、アドバンテージセットに入った場合は、ゲームカウントが6-6になったら、再度3回ずつに戻り、以後12ゲームごとに3回ずつになる。
アドバンテージセットとは、2ゲーム差がつくまでそのセットを続けるセットの取り方。主にディサイディングセット(ファイナルセット)で採用されている。
ホークアイシステムとは
trainingwithjames.wordpress.com
ホークアイシステムは、
- 競技場に設置された複数のカメラの映像からボールの最も妥当な軌道を再構築して、デジタル画像で瞬時に再現するコンピュータシステム
である。
開発したのは、イギリスのポール・ホーキンズさんで、2001年にホークアイ・イノベーションズという会社を作ったが、2011年にソニーが買収した。
ホークアイシステムは現在20以上のスポーツで採用されている。
テニスが公式にホークアイを承認したのは、2005年。2006年3月にテニス史上初のホークアイ判定適用となった。
■テニスではカメラ何台?
例えば、ウィンブルドンのセンターコートでは、
- 10台
のカメラが設置されている。
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ホークアイの正確性
カメラ映像を使ったコンピュータシステムではあるが、その正確性は、
- 2.2㎜の誤差
とされている。が、とあるレポートによれば、3.6mm、他では10㎜の誤差があるというのもある。カメラで撮っても100%ではないのである。
なぜこんなことが起こるのかというと、
- ボールのスピードにカメラのスピードが足りてないから
2018年のウィンブルドンのカメラの性能は、
- ハイレゾで1秒間当たり60フレーム
だそうである。そして、コート上のどのポイントでも、少なくとも5台のカメラがカバーしている。
だとしてもたとえば、1秒当たり100フレームだとしても160km/hのボールなら、フレーム間に2.4mも動いてしまうそうである。というわけで誤差が出てしまう。
たとえ1mmでもラインにボールがかぶっていれば判定はイン。2.2㎜は侮れない誤差なのだ。
■人間の目の正確性と比べると?
ではホークアイが役立たずかというと、それは違う。なぜなら、2.2㎜の誤差は人間の目よりもずっと正確だからである。
ボールの位置がラインから10センチ以下のギリギリだった場合、線審の判定は、約8.2%が不正確であるという。これは、1セット当たりだいたい4回不正確な判定がでるという計算になり、選手一人が3回までチャレンジできて、あわせて6回であるから、数的にはカバーできているということになる。
■線審はなくなるのか
現在、ホークアイは、チャレンジがあった時だけ表示するようになっている。
一方で2017年のネクストジェン・ファイナルと2018年のデルレイビーチの大会で、ラインコールをすべてホークアイで表示する実験をした。
結論はすぐにはでないであろうが、現在のところは、線審なしというのはテニスの楽しみが減る、という感想が概ねであった。
判断を誤ることもある人間がいろんな無意識の要素に影響されながら判断を下す。インかアウトかのチャレンジがあって、選手も観客も審判もドキドキする。観客とコートのインターアクションがある。人間臭さはずっとテニスというスポーツの一部であった。それはテニスを見る大きな楽しみのひとつなのであって、これがなくなると伝統的なテニスのおもしろさがなくなってしまう、と多くの人が感じたそうである。
それに、機械だからというだけで、絶対間違えてない、と無条件に思ってしまうが、今回2018年のウィンブルドンでは、イズナー選手が、「ホークアイがまちがっている」と怒りを爆発させている。
イズナー選手も、そばで見ていた観客も主審もアウトに見えたボールが、ホークアイではインと判断したのだ。ライン上ならチョークが飛び散るはずだけど飛び散ってなかったと言う。
主審のラヒヤニ氏は、ぼくもアウトだと思うけれど、ホークアイがインと言っているのでどうしようもない、と言って、インとなった。
ホークアイは、事前のセットアップも重要である。コートのラインを引き直すたびに、セットしなおすそうである。しかしながら、このセットアップが正確であると、だれがチェックしているのだろう。何人の確認が入っているのだろう。セットアップは機械じゃなくて今のところは人間の仕事である。
そして試合中はウィンブルドンでは4人一組のチームで各試合のホークアイを担当している。
これからは、IoTやAIの発達で、ボールに小さな何かチップ的なものを埋め込めば、ホークアイよりも正確にイン、アウトを判断できるようになって、もしかするとボール自身が、インとかアウトとか叫ぶようになるかもしれない。
しかしながら、判断を間違える人間だからこそ間違えないという点もあるのかもしれない。スポーツの試合はトレーニングじゃないんだから、正確さよりもおもしろいかどうかが一番重要というか。きっと今現在多くの人がおもしろいと感じるものと未来にそう感じるものとではだいぶ違うということもあるだろう。
線審の有無についても、その時代の人が状況に合わせて判断していくことになるのだろう。
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