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トラピスト(TRAPPIST)1の位置と名前の由来!肉眼で見えるの?

NASAが大々的に発表した「地球に似た7つの惑星」が世界のヘッドラインとなった。その名前は「トラピスト1系」。

それがどんなものであるのかは、大きく報道されていたが、なぜ「トラピスト」というのかの由来や、トラピスト1系が大空の一体どこにあるのか、肉眼でも見えるのか、などを調べてみた。

 

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トラピスト1系とは

トラピスト1系について太陽系との比較でおさらいしてみたい。

トラピスト1系の「系」というのは、太陽系の系と同じ意味である。
太陽系は、太陽という恒星の周りを地球などの8つ惑星が公転しているが、トラピスト1では、

  • トラピスト1という恒星の周りを7つの惑星が公転している。

太陽系の惑星は、水星、金星、火星などの名前で呼ばれているが、トラピスト1の惑星は今のところ、内側からb,c, d, e, f ,gとアルファベットで呼ばれている。これらの惑星は地球や金星とほぼ同じサイズで、岩石で出来ていると思われる。

このうち生命が生きられるとされるハビタブルゾーン領域にある惑星は、e,f,gの3つ。

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元画像は/www.nasa.govより。

NASAの記事はこちら。 

トラピスト1系の大きさ

トラピスト1系の大きさは、太陽系と比べてとても小さい。太陽系の一番内側の水星の軌道よりも小さい。木星とその衛星と同じくらいのサイズである。
トラピスト系の惑星の公転周期は、約1.5~20日。e,f,gでは6~12日。自転と公転周期は一致していて地球の月のように、トラピスト1にいつも同じ面を向けている。

 

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元画像はhttp://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/022300069/?P=2

 

トラピスト1と太陽

トラピスト1は、太陽と比べて小さくて暗い恒星である。
大きさは、以下の図のように、直径が太陽の11%。質量では8%。木星より少し大きいくらい。

は太陽よりもずっと赤い。明るさでは太陽の1000分の1程度。

人間にとっては昼間でも夕焼けのような赤っぽい光しか見えない。トラピスト1の惑星たちは、人間には光として見えないが熱として感じる赤外線としてトラピスト1の多くの部分の光を浴びている。

温度は太陽よりもずっと低い。太陽の表面温度は約6000度、トラピスト1は約2300℃。
7つのうち6つの惑星は0~100℃の表面温度となる。

トラピスト1と惑星の位置が太陽系それよりもずっと近いのに、地球と同じようなハビタブルゾーンがある理由は、トラピスト1の温度が低いからである。

年齢は、太陽は46億年、トラピスト1は少なくとも5億年。ちなみに宇宙の年齢は138億年。
寿命は、トラピスト1の方が長く、太陽は100億年程度、トラピスト1は数百億年以上と考えられている。

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元画像はhttp://www.eso.org/public/images/eso1615e/

 

トラピスト1系の名前の由来

トラピストはTRAPPISTと書くが、これは望遠鏡の頭文字をとったもの。そのフルネームは、

  • Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope–South

TRAPPISTという呼び名にしたのは、フランス起源のカトリック修道会・トラピスト会へのオマージュでもある。トラピスト会はベルギーの有名ビール・トラピストビールの製造者である。そのビールの一つはこれ。見たことありますね。

 


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トラピストはベルギーのリエージュ大学とスイスのジュネーブ天文台の合同事業で、彗星と太陽系外惑星の調査が主な専門分野。

トラピストは、南米チリの山に建てられている天体観測所ラシーやヤ天文台の中にあり、ベルギーのリエージュ大学がリエージュでコントロールしているリモート望遠鏡である。

場所はここ。

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Google Maps

トラピスト1の星そのものは、1999年に発見され、最初は2MASS J23062928-0502285と呼ばれていた。

その後、リエージュ大学のチームが、トラピスト望遠鏡でその星を観察し、惑星を発見したことから、発見者たちは、望遠鏡の名をとってその星をトラピスト1と呼んだ。

そして今日、トラピスト1系として世界に知られることとなったのである。

トラピスト1系はどこにあるのか

トラピスト1系の位置は、

  • 太陽からおよそ39.5光年離れた宇宙。キロに直すと370兆km以上。

地球からどのあたりの場所に見えるのかというと、

  • みずがめ座の方向。

みずがめ座との関係はこんなふうになっていて、

f:id:uwanosorajikenbo:20170225144241p:plainhttps://en.wikipedia.org/wiki/TRAPPIST-1#/media/File:The_ultracool_dwarf_star_TRAPPIST-1_in_the_constellation_of_Aquarius.tif

絵を重ねるとこんな感じで水が流れている位置になる。

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元画像はhttps://en.wikipedia.org/wiki/Aquarius_(constellation)#/media/File:Sidney_Hall_-_Urania%27s_Mirror_-_Aquarius,_Piscis_Australis_%26_Ballon_Aerostatique.jpg

 

で、みずがめ座はどこにあるのか。

みずがめ座は秋の星座で、夜8時~24時に南の空に見えるのは秋である。

みずがめ座は2等星以上の明るい星がなく最初は探すのが難しいが、目印となるのはまず秋の四辺形やみなみのうお座の1等星フォーマルハウト(南のひとつ星)。
みずがめ座はそのあいだの右側にある。ちょうど水がめの部分になっているζを中心としてπγηのYの字または三ツ矢サイダーの三つの矢のマーク、いやベンツの三ツ星のようなマーク型の部分を見つけると見つけやすい。

f:id:uwanosorajikenbo:20170225144645p:plainhttp://www.astroarts.com/special/2006autumn/constellation-j.shtml

 

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元画像はhttps://en.wikipedia.org/wiki/Aquarius_(constellation)#/media/File:Sidney_Hall_-_Urania%27s_Mirror_-_Aquarius,_Piscis_Australis_%26_Ballon_Aerostatique.jpg


トラピスト1は肉眼で見えるか

結論は、

  • 見えない。

人間の目で見える星は1~6等星までということであるが、トラピスト1は18.8等星で、まず肉眼では見えない。これは見える明るさの10万分の1以上暗いというこどだ。
光に高感度な高性能CCDカメラを使うと、6インチの天体望遠鏡で撮影はできる。

6インチの天体望遠鏡というとこんな感じでけっこう高級品です。


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なぜそんなにエキサイトするべき発見なのか

トラピスト1系の発見でなぜ世界は大騒ぎしているのか。その理由は、

  • 地球と同サイズの複数の惑星がひとつ星の周りを公転している系の発見が初めてであるから。
  • トラピスト1は地球外生命体の存在を確認できるかもしれないとても現実的な観察対象であるから。
  • 太陽よりも小さくて暗い恒星の周りにも地球に似た惑星がある可能性が出てきて、とすると今後一気に多くの地球に似た惑星が発見されるかもしれないから。

というわけでつまりは、

  • 地球外生命体を発見できる可能性が高まったから

ということになるだろうか。

一つの星の周りを回る「惑星」が初めて確認されたのは、実に1995年。惑星は自ら光らないため観測が難しく、それまでは太陽系以外の惑星を確認することができなかった。

以後、これまで発見された太陽系外惑星の数は2015年のリストでは3560。系の発見は2671。その中でハビタブルゾーンにあるかもしれないとされる惑星は40に満たない。

生命が生きられるとされる「ハビタブルゾーン」が実現している惑星を、天文学者たちは探している。

それは生命の起源を解明するためなのだそう。

 

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まとめ

トラピスト1は、みずがめ座の方向にあり、みずがめ座の水が流れている部分に当たる場所にある。肉眼では見えない。

トラピスト1の名前の由来は、トラピスト1の惑星を発見した望遠鏡の名前。ベルギーのトラピストビールで有名なトラピスト修道会へのオマージュでもある。

 


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