※追記 大坂選手は、22歳の誕生日となる2019年10月、日本国籍選択の手続きを行ったと報道されました。
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大坂なおみ選手は、日本人の母とハイチ出身の父を持ち、アメリカに居住している女子テニス界の新星である。現在、日本とアメリカの二重国籍保持者であるが、日本選手として登録されている。
大坂なおみ選手がなぜ日本とアメリカの国籍なのか、二重国籍とはどうして起きるのか調べてみた。
また、日本とアメリカで大坂選手の争奪戦が繰り広げられているというが、将来は、どっちの国籍となるのか。
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大坂なおみの国籍はなぜ日本とアメリカ
日本は二重国籍を認めていないが、自分の意思と関係なく国籍が与えられた場合は、大人になるまで二重国籍状態となれる。
国籍といっても国によって主義があるそうだ。
日本は、「血統主義」を取っていて、親のどちらかが日本人であるなら、日本に居住しているかどうかにかかわらず日本国籍が与えられる。大坂なおみ選手の母は、日本人の環さんということで、日本国籍がある。
対してアメリカは、「出生地主義」を取っている。アメリカで生まれるとアメリカ国籍が与えられるという主義である。ということは、大坂選手はアメリカ生まれかと思いきや、大阪生まれである。これにはあてはまらない。
さて、父のレオナルドさんはハイチ出身と報道されているのに、なぜもう一つの国籍がアメリカなのか、と思ったのだが、レオナルドさんハイチ出身のアメリカ国籍であるアメリカ人であった。
レオナルドさんは、ハイチで生まれ、ニューヨーク大学に進学したそうである。そしてアメリカ人となった。環さんともそこで出会い、結婚。それから日本へ渡り、大阪に居住。そこでなおみ選手も生まれた。レオナルドさんは日本に13年間暮らしたそうである。
大坂なおみ選手が3歳の時、家族はアメリカへ住居を移すことになり現在に至る。
出生地主義を取るアメリカは、アメリカ国外で生まれた子どもがアメリカ国籍を持つには条件があるのだが、それらが満たされていてアメリカ国籍があるということになるだろう。
大坂なおみの国籍は将来どっち
報道などによれば、大坂なおみ選手自身は、日本を希望しているという。
国籍について日本は、二重国籍または2つ以上の重国籍の場合、22歳に達するまでまたは20歳以上で重国籍になった場合はその2年以内に、日本かそれ以外かそれ以外かの国籍を選択する必要があるとしている。
日本とアメリカの二重国籍の場合では、日本の国籍を選択した場合、アメリカ国籍離脱の努力義務が生じる。ただしこれは努力義務であって、離脱しなくても罰則はなく、アメリカ側は二重国籍を容認しているのでアメリカ国籍が抹消されることはない。
よって日本国籍取得の宣言だけすれば日本は日本籍と認めるわけで、事実上将来もずっと二重国籍のままでいられる。もちろん2016年現在の法律では、ということであるが。
ということは、日本国籍を選択しておけば大坂選手にはなんの不利益もないことになる。アイデンティティの問題ということになろうか。有名人であることや、言葉のことを考えると、まわりの人たちがどう思うかということもあるかもしれないけれど、本人が日本人と言えば日本人だと思うな。
世界には国籍をいくつも持っている人がたくさんいるし、日本とアメリカの二重国籍の人も今はとても多く特別なことではないと言える。
個人の感想としては大坂選手は他国出身者も多いアメリカにいるから逆に日本人という気持ちを持てるのではないかと思う。
これからもぜひ日本選手として活躍してほしいな、大坂選手。
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追記 ハイチ国籍はあるの?
国籍に関しては、日本とアメリカと報道されている通りであるが、大坂選手はハイチ人であることも誇りとしている。
2018年の全豪オープン時のインタビューで、大坂選手は次のように語っている。
実際のところ、今住んでるのはフロリダです。で、もちろん日本人としてプレーすることはとても名誉なことです、そして、、、父方はハイチで、だからハイチ人でもあるんです。
”Actually, I live in FL now. But, I mean, of course I’m really honored to be playing for Japan, and… my dad’s side is Haitian, so represent.”
この時インタビュアーは、質問の中で、「ニューヨーク」に移民したと間違え、日本とアメリカについてしか言及しなかったため、大坂選手はこのように答えたのだが、これが大好評だった。
大坂選手は、日本人の母とハイチ人の父の間に日本で生まれ、フロリダがホーム、なのである。
というわけで、ハイチ国籍があるとはどこにも報道されてないのだが、だからきっと大坂選手はハイチ国籍ではないのだが、ハイチの国籍の決まりがどうなっているのかについて調べてみた。
わかったことは、
- ハイチは血統主義である(日本と同じ)
- 両親のうちどちらかがハイチ人ならその子はハイチ籍を認める
- その子が他国で生まれた場合ハイチ大使館等で手続きが必要
- ハイチに5年以上ずっと住みつづけるとハイチ国籍の取得可
- 二重国籍は認めない(日本と同じ)
- 他国で生まれた場合の二重国籍は18歳までにどちらかを選ばなければならない
- 他国の国籍を自らの意志で取得した場合、また他国の政治的地位についている場合、ハイチ国籍は失効する
~multiplecitizenship.comより抜粋
というわけでこれらの条件を鑑みると、現在大坂選手にハイチ国籍はない、と言える。
もしかすると将来は名誉国民とかありうるかもしれないけれど。
---追記ここまで
追記2 大坂なおみが日本代表な理由
2018年8月、全米オープン直前のニューヨークタイムズに大坂なおみ選手の特集記事が載った。
その記事によると、大坂選手のスポーツの国籍を日本に決めたのは、大坂選手の父のレオナルドさん。レオナルドさんと母たまきさんにとって、姉妹が日本籍の代表となることはとても自然なことだったという。日本は、二人が出会い、長い時間を過ごし、姉妹を授かった場所であったから。
レオナルドさんは、大阪時代の1999年、全仏オープンで活躍するウィリアムズ姉妹を見て、大坂選手姉妹を第2のウィリアムズ姉妹に育てることを決めた。テニスの経験は少ししかなかったが、全くテニス経験のないウィリアムズ姉妹の父がしたように、独学で大坂姉妹にテニスを教えた。
大坂姉妹は、プロへの既定路線であるジュニアの大会にはほとんど参加せず、これもまたウィリアムズ姉妹とそのコーチの父がしたように、プロのサテライトレベルの大会に参加した。姉妹はテニスコーチやエージェントの間で話題になったが、ジュニアの上位ランキングを獲得することはなかった。
結果としてアメリカのテニス協会はウィリアムズ姉妹にあまり興味を示さなかった。アメリカには将来有望な女子選手がたくさんいるからだ。一方、強い女子選手に飢えていた日本のテニス協会は、大坂姉妹に白羽の矢を立てたのだった。
そしてレオナルドさんは決断した。娘たちは13歳からは日本籍でプレーさせることを。
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おまけ
大坂選手は、日本以外ではよく「大阪出身だから大坂なおみなのか」と聞かれるらしい。現在の日本語で書けば表記が違うし日本人にとってはギモンにならないことだけれど、実際英語で検索するとよくその疑問が載っている。
確かに、この間の全米オープン女子ダブルスで、奈良くるみ選手とペアを組んだ時には、思わず2度見しましけどね(笑)
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