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国政選挙の無効票の例 参議院と衆議院の国会議員を選ぶ場合

日本の衆議院や参議院の国会議員を選ぶ選挙では、候補者の氏名を自書して投票しなければならないという「自書式投票」を採用している。

悪意のあるものは論外として、誠実に投票したつもりの投票にも、間違いや判定の難しいものが出てくる。

国政選挙の場合、どんな票が無効となるのか。その例を調べてみた。

 

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出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%8A%B9%E7%A5%A8

 

 

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無効票とは

無効票(むこうひょう)とは、定められた要件を満たしていないとして、効力が認められない票のこと。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%8A%B9%E7%A5%A8

 

法律に定められた方法に反した投票は「無効」、いわば意味のないものとなる。


無効票を決める法律

日本の選挙については、「公職選挙法」に定められている。
無効票については、その「第七章 開票」の中の「第六十八条」に書かれている。

それによる国政選挙における無効票をざっくりいうと

 

1.所定の用紙を用いていないもの
2.自書していないもの
3.二人以上の候補者や二つ以上の政党名を書いたもの
4.誰を書いたのか判断できないもの
5.氏名以外の多事を記載したもの

 

ひとつずつみていこう。

 

1.所定の用紙を用いていないもの

投票用紙は選挙当日に投票所で交付される。それ以外のものでの投票は無効。
家でほかのものに書いていって投票してもそれは無効。


2.自書していないもの

たとえば、スタンプを押したものなどは無効。


3.二人以上の候補者や二つ以上の政党名を書いたもの

書いてよいのは、一人の氏名のみ。政党名を書く場合でも一政党のみ。


4.誰を書いたのか判断できないもの

候補者以外の名前は無効。

これは当然として、間違いの場合の判断が難しい。
基本的には、候補者の一人のこの人物への投票に間違いない、と判断されれば有効である。
たとえば、「山田太郎」という候補者への投票を考えてみる。

 

山田太郎  有効。正しい書き方。

やまだたろう 有効。ひらがなもカタカナも有効。ローマ字も有効。

やま田たろう 有効。かな漢字の混在は有効。

山田 ほかに「山田」という候補者がいなければ有効。いた場合は按分。「太郎」だけでもほかに太郎という候補者がいなければ有効。いれば按分。
かなで書いた場合も同様である。

 

按分とは、複数の候補者や政党に該当する場合に、票を振り分けること。日本では得票率に応じて振り分けられる。投票結果には小数点以下の得票数が出ることになる。

ヤマダタロオ」や「山田汰朗」など少し間違えていた場合でも山田太郎に間違いないと判断されれば有効。ただし、「山田汰朗」という有名人がいたり「汰朗」という名の候補者がいる場合は無効である。

候補者のあだ名を書いた場合は原則として無効。しかしながら、そのあだ名が有権者に広く浸透している場合に有効と判断されることがある。
例として、「ホリエモン」や「さくらパパ」が有効となった。


5.氏名以外の他事を記載したもの

氏名以外の書かれたものを「他事の記載」という。

たとえば、

 

山田太郎へ 無効

山田太郎に投票します 無効

山田♥太郎 無効

山田タロー!!! 無効

○山田太郎 無効

山田太郎ガンバレ 無効

 

名前以外の言葉や記号などが書かれていたらすべて無効である。

しかし例外がある。職業、政党名、住所、敬称は、書かれていてもよい

 

弁護士 山田太郎  有効。ただし山田太郎が本当に弁護士である場合のみ。
北区南町 山田太郎 有効。ただし山田太郎の住所が本当に北区南町である場合のみ。
山田太郎様 有効。
山田太郎殿 有効。
山田太郎様へ 無効。敬称はつけてよいが、「へ」はダメ。

 

法律で決まっている無効票は、以上のようなものであるが、中には判断の難しいものがある。
たとえば、どこまでを敬称とするのかといったことや、どこまでを誤字脱字とするか、按分とするか。その場合はどうするのか。

 

無効票を決める人

こうした判断を決定するのは、現場の責任者である「開票管理者」であると公職選挙法第六十七条で定められている。

現場で、開票立会人の意見を聞き、有効か無効かを判断する。

この決定に不服があった場合は、裁判で争われる。


他事の記載が無効となるわけ

選挙では、できるだけ投票者の意思を汲まなければならないのに、なぜ、投票先が明確な「山田太郎へ」や「山田太郎に投票します」が無効となってしまうのか。

それは、憲法15条にもある「投票の秘密」を守るためである。
秘密が守られないと、投票者への干渉が起こる。それは脅迫、強要、報復、買収、賄賂などを誘発することとなり、正当な選挙が行われなくなる危険がある。

他事記載を有効とすると投票者を特定できる恐れがあるため無効となるのだ。


まとめ

衆議院と参議院の国会議員を選ぶ日本の国政選挙では、自書式投票が採用されている。

指定の投票用紙に投票所で候補者や政党の名前をひとつだけ自書しなければならない。
二人以上または二つ以上書いたり、誰に投票されたか確定できないもの、所定の用紙を使用していないものは無効である。
書き間違いにはできるだけ対応する方針であるが、投票の秘密の原則を守るため、投票用紙に名前以外のものを書くと無効となる。

無効票については、公職選挙法に定められているが、あいまいなものの判断は、開票管理者に委ねられている。

 

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