メリークリスマスのメリーの意味は何?
英語で誕生日おめでとうは、ハッピーバースデー。クリスマスおめでとうはメリークリスマス。クリスマスってキリストの誕生を祝うのではなかったっけ。
なぜハッピーじゃなくてメリーなんでしょう。
ハッピークリスマスという言葉も使うには使うし、最近のアメリカでは、ハッピーホリデイズとういうらしい。で、ハッピーニューイヤーだけれどメリーニューイヤーはきいたことがない。
メリークリスマスのメリーについて調べた。
sponsored link
メリークリスマスのメリーの意味
現代のメリークリスマスの意味
メリークリスマスという言葉を聞いて、現代人が思う感覚は、
- 愛、喜び、幸せ、健康を願う楽しい祝いと祭り
というもの。
一般的に日本では、この中の祝いという感じはないかもしれないが、幸せな願いを感じる言葉であるということは違いないだろう。
メリークリスマスのもともとの意味
では、その起源は?
クリスマスが現在のような派手で商業的な祝祭になったのは、第2次世界大戦後のことであり、メリークリスマスの言葉から受ける印象は、クリスマスの在り方とともに変化してきた。しかしながら、メリークリスマスというフレーズそのものの歴史は、少なくとも数百年前に遡ることができる。
その起源ははっきりと分かっているわけではないということだが、最初に記録に現れるのが16世紀のイギリスである。その当時の言葉の使い方を踏まえると、もともとは、
- 神ご加護によりあなたの成功と繁栄が続きますように
という意味の言葉から生まれたフレーズであった。
そこには、「日常とは違う楽しいお祭り」という現在では多分に含まれるニュアンスがない。「神」がいて、また、今の幸せが続きますようにという穏やかな願いであり、静けさや神聖さがあるように感じる。
sponsored link
メリークリスマスと言われるようになったのは19世紀?
メリークリスマスというフレーズが、一般的に使われるようになったのは、意外と最近で19世紀になってからである。しかし先に述べたようにその起源ははっきりしていない。はっきりしていないので、考えられる、とか、思われる、とか、らしい、という表現が多くなってしまうがご容赦いただきたい。
メリークリスマスというフレーズの誕生
たどりつける最も古いメリークリスマスというフレーズの記録は、1534年に英国カトリック教会の司教ジョン・フィッシャー氏が、クリスマスに政治家のトマス・クロムウェル氏に送った手紙の中のものである。
また、同じ16世紀に、日本名「神が喜びを下さるように(ほしかげさやけき)」、英語の題名「God Rest You Merry, Gentlemenゴッド・レスト・ユー・メリー・ージェントルメン」というキャロルが作られたと言われていて、これも起源のひとつではないかと考えられている。
16世紀当時、英語の「メリー(merry)」の意味は、「楽しい」や「豊かな」、「繁栄する」という意味で、「レスト(rest)」は「保つ」や「維持し続ける」といった意味であった。
このキャロルは、「神がご加護によりあなたの成功と繁栄が続きますように」という意味のことを歌いやすいように短くして、そしてきっと詩的に分かりやすいフレーズになって、God Rest You Merry, Gentlemenとなったと思われる。
このフレーズが、のちにコンマ(,)の位置がメリーの後ろから前に変わって「メリージェントルメン」になり、最終的に「メリークリスマス」になったらしい。
さらにキャロルがもう一つ。
今もクリスマスになれば必ず聞く「ウィ・ウィシュ・ユー・ア・メリー・クリスマス」である。「クリスマスおめでとう」というタイトルになっていることもある。
この歌の起源も16世紀のイギリスと言われていて、この歌が人気になったことが、メリークリスマスというフレーズを広く定着させた最有力候補と考えられている。
メリークリスマスが定着した19世紀
メリークリスマスの起源は16世紀のものであったが、一般的に使われるようになったのは、19世紀だと言われている。きっかけは2つ。
クリスマスカードが最初に商品化されたのは1834年のイギリスで、この時、カードには「メリークリスマス」が書かれていた。ウィキペディアにのっている。それがこのカード。
同じく1843年に出版された、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの小説「クリスマスキャロル」の中には、「メリークリスマス」というフレーズが20回以上登場する。なおディケンズは、先のキャロルのタイトル「God Rest You, Merry Gentlemen」も引用しているのだが、コンマの位置に注目。メリーの後だったのが、メリーの前になっている。
クリスマス・キャロル / 原タイトル:A Christmas Carol[本/雑誌] / チャールズ・ディケンズ/原作 ブレット・ヘルキスト/絵 三辺律子/訳
今の英語圏の人たちは、クリスマスになるとカードを贈る。日本の年賀状みたいな習慣である。そしてディケンズのクリスマスキャロルは、知らない人がいないほどの古典小説である。メリークリスマスというフレーズは、こうして英語圏の人に一般的なものとなり、英語が影響を及ぼす世界中の場所でメリークリスマスという言葉が一般的になった。
ところでイギリスのエリザベス女王は、メリークリスマスよりも、「ハッピークリスマス」というフレーズを使う。クリスマスにあたって女王のお言葉が放送されるが、そこでハッピークリスマスと使うのが恒例となっている。なぜなら、メリーという言葉にはお祭り騒ぎというニュアンスがあるから。もともとイギリス教会的には、人々に幸福を願うのであって、お祭り騒ぎは求めていない。ということで、ハッピーと言う言葉のほうが女王的にはふさわしいのだそうである。
sponsored link
まとめ
メリークリスマスは、もともとは、「神のご加護によりあなたの成功と繁栄が続きますように」という控えめな意味の言葉であったが、現在では、メリーという言葉に派手な祝祭といった意味がだいぶ入っている。とはいえ、幸せを願う点については共通である。
メリークリスマスの言葉は、19世紀のイギリスで初めて一般発売されたクリスマスカードや著名作家の小説の中に登場したこと、そしてキャロルの歌詞に入っていたことから、広く一般に使われるようになった。
メリーがクリスマスにだけつくけれど、メリーという言葉が特に宗教的な言葉だったのではなかった。クリスマスカードやクリスマスを題材にした小説やキャロルに出てきて、それが広く知られて、みんなが使うようになって今に至っているという理由が今回調べた結果である。
思うに、メリーバースデーやメリーニューイヤーと言わないのはみんなが言わないから言うとおかしく聞こえるから言わないのだろう。今は言わないけれどもしかするとある時から突然言うようになることもあるかもしれない。言葉だから。より多くの人が使えば一般的になるというだけなのかもしれない。
それから、メリークリスマスという音がなんか気持ちいのかもしれない。ペンパイナップルアップルペンじゃないけど(笑)
日本でも、メリーが意味としてはあけましておめでとうの「おめでとう」とまるかぶりと言えるのに、クリスマスおめでとうよりもメリークリスマスっていうし。メリークリスマスが、幸せな気持ちを喚起する言葉であることは今のところまちがいない。
sponsored link